依存中毒症とトラウマセラピー
――――― 依存的中毒症について ―――――

 心理療法で「依存」というのは、「本当に欲しいものが手に入らないので、不足感からくる苦しみを和らげるために、何か得やすいもので一時的な満足を得ようとすること。」です。依存中毒症には、様々な症状があります。例えば・・・

・食べ物(過食・拒食) ・タバコ ・ドラッグ ・アルコール ・ギャンブル ・買い物
・恋愛 ・セックス ・仕事 ・激怒やイライラ(アドレナリン中毒) ・宗教 ・占い
・自傷行為 などたくさんあります。

 自分が中毒症であることに、気づいていない人がほとんどです。中毒の共通した特徴は、「繰り返し欲しく(やりたく)なるもので、自分では止められず、その人の生活や人格を次第に破壊」していきます。つまり依存的中毒症は、単なる「癖」や「習慣」ではないということです。
 依存の中には、他の人をいつも必要とする「共依存」があります。共依存は他の人からの承認を強く求めています。宗教や占い中毒も、神や運命からの承認を求めているというだけで、共依存的な症状と考えられます。

◎依存的中毒症の症状◎
(1) 食べ物(摂取障害)
 単なる食べ過ぎかと思える程度のものから、過食・拒食まで様々な段階があります。食べ過ぎの人は、次第に太ってきますが、過食の人は過食の直後に食べ物を吐いてしまうので、体形はスマートな方が多いように思います。過食が進行すると拒食に至ります。拒食は危険な状態ですから、入院又は集中的な心理療法が必要になります。
 摂取障害になる人は、幼い頃に親からの承認が得られなかったり、愛情が不足してる場合がほとんどです。このような方は、不足した愛情のエネルギーを食べ物のエネルギーで補おうとしているのです。不安になりイライラしていると、ケーキや菓子パンなどの甘いものは、一時的に心を落ちつけてくれます。甘いものは愛情の代償として、とても効果的な食べ物です。

(2) タバコ・アルコール
 何らかの心理的な欠乏感やストレスを緩和するために使われる、手軽で一般的な方法です。主婦のアルコール中毒が増えています。多くの場合、自己実現の不満や家事・子どもや主婦のストレスが原因です。
 タバコ・アルコールの場合は、習慣から依存へ。そしてついに、本当の肉体的中毒へと進行していきます。一説によると、現代人の一日のストレス量は、縄文人の一生分のストレス量に相当するそうです。それを考えると、タバコやアルコールへの依存症が増えているのは、仕方のないことなのかも知れません。

(3) ギャンブル
 本当に欲しいものを、お金に投影していると考えられます。それに加えて、目標の喪失感や日常の無力感からの逃避が加わったのがギャンブル中毒です。
 手軽なギャンブルであるパチンコ中毒の方が増加しています。パチンコに夢中になっている間に、子どもが行方不明になったり死んでしまったりする事件は、しばしば報じられます。

(4) 恋愛
 恋愛中毒は女性に多いように思います。恋愛中毒にかかると、自分を本当に受け入れてくれて、いくらでも愛情を与えてくれる異性を求め続けます。この人だと思う人が現れると、安心してその大切な人に、今まで抑圧していた我がままな態度や感情(怒り・悲しみなど)を吐き出して、ぶつけてしまいます。そしてついに、相手のフラストレーションが限界に来たときに破局をむかえます。恋愛中毒の人は、このようなことを繰り返しながら、次第に自己嫌悪と無力感を強めていきます。

(5) 占い
 恋愛中毒は占い中毒を併発します。占いビジネスが盛況ですが、このような事も関係していると思います。借金してまで占いに通いつめる人も居るくらいです。私共の相談室にもそうのような方がいらっしゃいますが、占いに通えば通うほど、皆さん占いへの依存を深めています。

(6) セックス
 セックス中毒の人は、セックスしている相手の人に本当に愛されている(受け入れられている)と錯覚しています。症状が進行すると、身体的快楽と一時の心理的満足感を得るために、特に希望しないセックスにも応じるようになっていきます。そのころには、もうすっかりセックスのとりこです。

(7) イライラ・激怒
 よくイライラする人から、俗に「キレル」人まで症状には程度の差はありますが、このような人はみんなアドレナリン中毒です。腹の立ち易さを栄養学的な立場から、食事の影響だとする考え方がありますが、本当は心理的な要因が大部分です。
 些細な事で怒鳴り散らす上司、雷親父、家庭内暴力、幼児虐待、学校での体罰、キレル子どもや大人・・・、このような人達は、みんなアドレナリン中毒です。近頃、日本にはこのようなアドレナリン中毒が蔓延していて、すでに社会現象化しています。

(8) 仕事
 若い人は少ないように思いますが、中高年の人の中には仕事中毒が蔓延しています。仕事中毒は、自己承認の基本的欲求が満たされない人に、より強く出る傾向にあります。

(9) 自傷行為
 幼い頃からの愛情不足や親からの承認不足によって、自己存在そのものが揺らいでいる人で、特にその傾向が強い人に自傷行為が見られる場合があります。自分の身体を傷つけ、痛みや苦痛を感じることによって、自分の存在を確認します。過食、アルコールやタバコ依存、ドラッグ依存(中毒)なども広い意味で自傷行為と考えられます。