自己感覚の喪失

これは自分の感情、欲求、欲望に気づいていない状態をいいます。子供たちは、自分自身の内側から発せられる信号を理解する為には、安全で健康な情動のモデルとなる親が必要です。家庭環境が暴力的(情動的・肉体的・性的・アルコール中毒など)であると、その家庭の子供たちは、身を守るためにもっぱら外部にだけ目を向けなければなりません。そのようにしているうちに、自己の内的世界が形成されず、その結果自尊心を生む力を失ってしまいます。健康な内的世界がないと、人は外部で満足を見出すしかなく、果てのない放浪の旅を続けるのです。このような行動は、幼い頃の欲求が満たされなかったことを示しています。そのために自分が誰であるか分からなくなっているのです。

理香(22才)の両親は、小学校のときに離婚しました。彼女は母親と暮らしていましたが、その後母親は再婚しました。義父は母親のいないときに、彼女の体を触りはじめました。彼女は嫌悪感と恐怖心を抑えながら、義父の顔色をうかがう日々が続きました。母親は今でもそのことを知りません。彼女はとてもスマートですが、自分は太っていると思いこんでいます。その一方で過食に悩んでいます。精神的に不安定になると、食欲が有る無しに関係なく過食して吐くことを繰り返しています。よくあることですが、彼女もセラピーの中で、たくさん涙を流しました。涙は悲しみを浄化し、苦悩を解決する助けとなります。深く悲しむことができないと、過去を捨て去ることはできません。彼女は涙を流す度に、元気になっていきました。


自己愛的障害 信頼関係の障害 しつけの問題 行動化されない情動の問題