第2のワーク

人はストレスが頂点に達すると、怒りを爆発させたり(怒り)、悲しみで涙を流したり(悲しみ)、恐怖のあまり身体をガタガタふるわせたり(恐怖)してストレスを解消します。
しかし、心に傷を持った親は、彼らの親がしたように子供たちに怒り、恐怖、悲しみの感情を表に出すことを禁止します。そのため、怒り、悲しみ、恐怖といった、情動エネルギーは、発散されることなく子供の心の中に封じこめられます。封じ込められたエネルギーは、その表出を訴えているので、過去に受けた怒りを自分自身に向けたり(内向化といいます)、異常な行動(行動化といいます。例えば、父親に暴力を振るわれた子供が、大人になり自分の子供に暴力を振るうケース)で、過去の情動エネルギーを発散しようとします。
しかし、これは誤ったやり方なので、過去の情動エネルギーは、発散されることなく、子供の心の中に封じ込めらたままになります。また、怒り、悲しみ、恐怖という情動エネルギーを封印された人は、それ以外の興味、喜び、興奮等の情動エネルギーを感じ取る能力も閉ざされてしまいます。従って、退行催眠によって子供の頃に戻り、抑圧された、怒り、悲しみ、恐怖を体験し発散することによって、内向化、行動化もなくなりますし、興味、興奮等を感じることもできるようになり、人生を退屈と感じる事もなくなります。
そこで、催眠療法での私の第二のワークは、「子供の頃に戻り、怒りや悲しみを吐き出す事」でした。

このワークは、私にとって、とても大変なワークでした。自分で思っていた以上に、怒りを表に出してはいけないという気持ちが強くて、子供の頃に戻って、親に怒りをぶつけようとしても顔が笑ってしまうのです。鈴木先生に「怒っているのに笑ったらだめだよ」と何度言われても、なぜか顔が笑ってしまうのです。今思うと気持ち悪いですよね。だって、本気で怒れば怒るほど、笑い顔になるんですから。その状況がしばらく続いた後、急に怖くなって泣き出してしまいました。でも、鈴木先生が「一人じゃないから大丈夫だよ、一緒に戦ってあげるからね」と励ましてくれたので、勇気を出して、その恐怖の原因は何かを考えてみました。すると、忘れていた記憶がどんどん蘇ってきました。私の父は、とても短気で、機嫌が悪い時に、私が泣いたり大声を出すと、母に怒って暴力をふるっていたので、私はそれが怖くて、自然に泣いたりすることを我慢するようになりました。また、私が怒ると母は、私を「わがまま」だとなじったので、私は怒ることに対しても罪悪感を感じるようになりました。そして、そうやって我慢して封じ込めた怒りや悲しみを抑えきれなくなったせいだと思うのですが、私は、6〜7歳ぐらいのときに、本気で親を殺そうと何度も考えました。夜になって両親が寝静まると、私は、毎日台所に行って、包丁を持ってきて、両親を殺したいという欲求といつも戦っていました。でも、それと同時に、そんな恐ろしいことを考えている自分が怖くて怖くてたまりませんでした。私は、何週間もそんな夜を経験した後、「怒りを表に出すと、人でも殺しかねないから、一生本気で怒る事は止めよう」と自分の中で怒りを封印したみたいでした。それを思い出した後、私は、今まで封印していた親に対する怒りを爆発させました。人って本当に怒ると声なんてでませんね。私は、悲鳴に似た声をあげながら、鈴木先生が出してくれた座布団を狂ったようにたたいていました。怒りを発散した後、催眠から起きて時計を見ると、二時間近くたっていてびっくりしました。その後、一人で家まで帰ったのですが、本当に爽快な気分でした。行きと同じ道なのに、風景が輝いて見えるのです。その時、今まで生きていて初めて、自分の将来を楽しみに思えるようになりました。
後日催眠で、今度は母親が父親に殴られるのを見て、自分も殴られるのではないかと恐怖を感じていた頃に戻り、その恐怖と戦いました。すごく怖かったのですが、今回も鈴木先生が「一人じゃないから大丈夫」と言ってくれたので、私は、恐怖に勝って、父親をやっつけることができました。

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