【トラウマによって生じる様々な症状】

メンタルサポートでは、主にPTSDや依存症で苦しんでいる方々を治療しています。
トラウマは心の奥を傷つけ、様々な症状になって現れてきます。PTSDもその一つですが、もっと広く捉えると依存症の中に含まれてしまいます。このような考え方が、メンタルサポートのスタンスです。
普通、依存症といえば「アルコール依存症」という言葉が、直ぐに思い浮かぶと思います。しかし、依存症はもっと範囲が広く、様々な症状を含んでいます。このコーナーでは、あまり理解されていない、依存症の全体像についてお話したいと思います。

★ 依存症は症状の総称 ★
依存症は様々な症状を含んでいます。「依存症症候群」と呼んだ方が、その実態を良く表しているのではないかと思います。
私は依存症を、次のように定義しています。

「主に幼少期のトラウマ(心的外傷体験)によって抑圧されたネガティブな感情が原因となり、身体面・感情面・行動面に現れる、様々な症状群の総称。」

初期の段階ですと、依存症は催眠療法によるトラウマの治療を行えば、慢性化したり薬の厄介にならなくても、比較的簡単に治療できるストレス性の症状です。
現在、病気の原因の8割〜9割はストレスだと言われています。精神的なストレスが、様々な症状となって表れることは、今では誰でも知っています。この精神的なストレスは、潜在意識の中で起こる様々な感情反応です。ストレスの基になる、自分でコントロールできない感情のほとんどは、トラウマによってできた心の傷に起因するのです。一端症状化してしまうと、ストレスの原因を解決しない限り、症状はいつまでも消えることはありません。

★ 依存症の症状は様々 ★
依存症の症状は、身体面・感情面・行動面など様々な現れ方をします。少し具体的に見ていきましょう。

@ 身体面
各部の凝りや痛み。頭痛・疲れやすい・睡眠障害・自律神経系に係わる症状・内分泌系に係わる症状。免疫系に係わる症状など。
*このような症状を感じて病院で検査しても、「特に異常はありません。」と言われることが多いと思います。クライアントさんの中には「もっと悪くなってから来て下さい。」などと、医師に言われた人までいました。

A 感情面
うつ状態・情緒不安定・不安感・無気力・無力感・対人恐怖・自信喪失・その他、神経症的症状・厭世観や自殺念慮など。
*このような症状で心療内科や精神科に行くと、ほとんどの場合、精神安定剤か抗うつ剤を処方されます。(症状が激しい場合には、薬は必要になります。)

B 行動面
アルコール依存・薬物依存・タバコ依存・食べ物依存(過食などの摂取障害)・ギャンブル依存・買い物依存・ブランド依存・占い依存・セックス依存・共依存恋愛中毒(母子癒着など)・インターネット依存・仕事依存・激怒(切れる症状・アドレナリン中毒)。
*このように行動面で表れる症状を、まとめて「依存性中毒症」と呼ぶことがあります。これらの症状は本人が止めようと思っても、どうしても止めることができず、繰り返してしまいます。そうしているうちに、生活や人格まで崩壊してしまうケースがとても多いです。

★ 良い子も立派な依存症 ★
信じられないかも知れませんが、様々な依存症の温床になっているのが「良い子」です。何か「良い子」と聞くと良いことのように思ってしまいますが、実は「良い子」とは、判断の基準をすべて他人に依存しているという点で、立派な依存症と言えるのです。様々な依存症の症状を現している人は、必ずと言っていい程「良い子」と言う依存症を併発しています。

@ 良い子も立派な依存症
ほとんどの日本人は、良い子の問題を抱えています。常識的に考えると「良い子」になることは、良い事のように思います。しかし、良い子も限度を越えると、様々な問題を引き起こします。
過剰に良い子を演じている人は、次のような問題を抱えています。
《過激な義務感》
良い子は義務感がとても強いです。自分のことは後回しにしてでも、自分に与えられた義務を遂行しようとします。このようなことを長い間続けていると、自分のことが分からなくなり、クタクタに疲れてしまいます。
《つきまとう罪悪感》
良い子は正義感と倫理観がとても強いです。また、「〜すべき」ものもたくさん持っています。もし、自分がそのような内部規範に反するようなことをしたら、心の奥の方から罪悪感が沸き上がってきます。ですから、そんなことはとても怖くてできなくなってしまいます。
《恥の意識》
良い子は、素直な気持ちや自分の感情をそのまま表現することを恥ずかしがります。そのようなことは、小さいときからあまりしたことがなかったからです。
良い子の症状が進行すると、自分が本当は何をしたいのか、自分の中にどのような感情があるのかもはっきりとしなくなってしまいます。

このような特徴があると、自分のやりたいことができなくなってしまうのは、お分かりだと思います。良い子は、幼い頃から人の意向(評価)に従って生きてきました。そして、今でも人のために生き続けています。

A 過激な良い子を続けていると、引きこもりになることがある。
良い子が進行すると、人目(人の評価)がさらに気になってきます。その過程で、自分は本当にやりたいことをしてこなかったので、それをやらせてくれなかった大人(普通は両親)に対する怒りや恐怖などの感情が抑圧されています。(このような抑圧された感情の依存に、気づいている人は少ないです。)その結果、対人緊張から対人恐怖へ症状はさらに悪化します。いじめなどの体験があると、それがさらにトラウマとなって、対人恐怖は一層強化されます。

この段階になると、不登校・仕事が長続きしない・外出するのがおっくうなど、孤立化が進行します。そして、ついには引きこもり状態になってしまいます。
現在、引きこもりの人は、推計で100万人を越えていると言われています。このような人達は、決して怠け者ではありません。自分を犠牲にして、人のために必死で生きてきた、良い子たちなのです。

B 犯罪の低年齢化と多発する異常犯罪。
良い子は義務感と正義感が強い反面、潜在意識には表現されずに抑圧してしまった、ネガティブな感情がたくさんあります。良い子の心の中は、怒り・憎しみ・悲しみで一杯です。しかし、本人は自分の中に、この様な感情があることなど、気づいていないことが多いと思います。
また、良い子は生活していくのに疲れるし、日常生活は次第に上手くいかなくまるし、イライラは募ってきます。良い子を演じていくことへの疲れ。日常生活のイライラ。引きこもり状態を抱えながら、この2つが合わさると、やり場のない怒りの感情が社会生活全体に向けられていくことになります。最近、以前には見られなかったような、青少年の凶悪犯罪が目立ちます。容疑者達は「殺すのは誰でも良かった。」などと供述したりします。これが究極の良い子の末路なのかも知れません。

このように、依存症は一言では語れません。でも、原因は一点に集約されます。それは、「トラウマ」なのです。