【 催眠療法に対する誤解 】 

催眠療法は誤解と偏見のとても多い心理療法です。誤解のいくつかをご紹介したいと思います。

《誤解1》:意識がなくなる。
催眠状態(トランス状態)に入ると、意識がなくなってしまうと皆さんが思っています。実際に催眠状態を体験すると分かりますが、催眠中も意識はちゃんとあります。むしろ、感覚が鈍くなって、普段では感じないような潜在意識の中の感覚まで感じることができるようになります。催眠療法は、この敏感になった感覚を利用して、潜在意識の中に抑圧された、様々なネガティブな感情やプログラムを開放したり、眠っている能力を開発したりするのです。

《誤解2》:催眠療法は魔法のように問題を解決してくれる。
これも結構一般的な誤解です。催眠療法も心理療法の一つですから、クライアントさん自身がご自分の問題や課題に、勇気を持って前向きに取り組んで頂くことが不可欠です。そうして頂いてはじめて、セラピストが援助することが可能になります。心理療法は、あくまでクライアントさんが自分自身の力で回復していくプロセスなのです。決して、セラピストが魔法のように治してくれるものではありません。
しかし、クライアントさんの中には、無意識の防衛が強くて、ご自分の問題から逃げてしまう方や、依存心が強くてなかなか自分の問題に直面できない方もいらっしゃいます。また、セラピストに依存して、自分の責任を放棄してしまう人すらいます。このような方々は、変化が遅いか、場合によっては逆効果になることもあります。

《誤解3》:催眠療法はラクに変われる療法である。
催眠療法は過去の抑圧した様々なネガティブな感情や思いを、潜在意識から解放していくことから始まります。当然、見たくない自分を受け入れなければなりませんし、激しい感情も噴き出してきます。このプロセスは、非常に辛くなることも稀ではありません。(激しく怒りが出てきたり、激しく泣いたり・・・。)トラウマを抱えた方は、ほぼ例外なくこのような激しい感情を抑圧していて、これらの感情が様々な症状の原因となっています。
しかし、今まで気づかないようにしてきた感情や、見ないようにしてきた自分のイヤな部分などを、感じたり見たりしなくてはならない訳ですから、この作業は結構辛いものです。でも、このプロセスを通過しないと、決して問題の解決には至りません。

このように、催眠療法は大変激しい療法で、決してラクな方法ではありません。だからこそ、セラピストの支えが必要になってきます。治療の過程でクライアントとセラピストの信頼関係が育ち、この信頼関係を築いていく体験も、クライアントの回復に大きなバックアップとなります。